ナキウサギは氷河期の生き残り? ―遊びの生物地理学
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「ナキウサギとアカエゾマツは、仲良しコンビだった。」
随所にあるそんなフレーズに出会うと、なんとも幸せな気分になる。
一気に親しみが湧いてくるからだ。
いままで意識することもなかった昆虫や鳥、獣や植物の存在が生きいきとせまってくる。
このなにげないフレーズで景観がイメージされる。
一瞬にして話の世界に引きこまれてしまう。
表題ほか、全17編。
自由な発想と推理が織りなす「自然史エッセイ」
目 次(細目略)
地質時代区分表
カラー口絵
プロローグ ウスタビガ物語―東チベットと日本を結ぶ―
ウスタビガの日本へ来た道
1 ウスタビガの隔離分布 -東チベットと日本-
2 チベットウスタビガの餌植物 -イヌザクラ(高山小白桜)-
3 ウスタビガの来た道 -東チベットから日本へ-
4 ウスタビガの餌植物の変遷
ウスタビガの繭の水ぬき技術
1 繭末端の水ぬき孔
2 繊維膜のレンコン状の孔
3 東チベット産の繭にも繊維膜があった
4 考察①-ウスタビガの繭は、なぜ、繊維膜が必要なのか-
5 考察②-ウスタビガの繭は、なぜ、緑色なのか-
I 樹木の歴史―白亜紀から第四紀氷河時代まで―
ゴンドワナ大陸の樹木-カウリ、ミナミヒノキ、ミナミブナ、バオバブ、ユーカリ-
1 カウリ(ナンヨウスギ科)とマキ科
2 ミナミヒノキ(ヒノキ科)
3 ミナミブナ(ミナミブナ科)
4 バオバブ(パンヤ科)
5 ユーカリと有袋類
日本列島の樹木相の変遷-第三紀から第四紀まで-
1 古第三紀の樹木-日本列島は大陸の一部-
2 新第三紀の樹木
3 第四紀の植物(200万年まえ–現世)
II 東南アジアの多島海形成―南・北両大陸の海岸線の分裂―
ムカシクマゲラとトリバネアゲハ
1 アオスジアゲハの分布
2 ミカドアゲハの分布
3 ウォレス線
4 キツツキからウォレス線を考える
5 東南アジアの島々の大陸からの分離順-キツツキの情報から-
6 東南アジアの多島海形成
7 ムカシクマゲラ線の設定-北の大陸の最初の海岸線-
8 ゴンドワナ大陸の蝶
III 第三紀の遺存種
エゾマツ-倒木更新で繁栄を掴む-
1 トウヒと楽器
2 葉の断面が四角のトウヒ
3 葉の断面が扁平なトウヒ-第三紀の遺存種-
4 扁平葉トウヒ類の世界分布
5 扁平葉トウヒの衰退の原因
6 エゾマツの繁栄-倒木更新技術を開発-
7 トウヒ-エゾマツの本州亜種-
ナキウサギ-氷河期の生き残り?-
1 アカエゾマツとナキウサギ
2 氷河期の生き残り?
3 「遺存種」の別の解釈
4 氷期の「とり残された」個体群
5 氷期の「生き残り」個体群
6 遺存種が現在も生き残っている理由
7 ナキウサギ属は第三紀の遺存種
ヤマネ-樹花の世界に逃げこむ-
1 花くい獣
2 ヤマネ対ヒメネズミ
3 ニホンヤマネの来た道
4 ミツバツツジの樹木学
5 ミツバツツジが多種化した理由-日本に来たのは、かなりむかし-
6 ムラサキヤシオツツジ群
日本カラマツのルーツを追う-先祖はヒマラヤスギ-
1 針葉樹苗の耐鼠性をしらべる
2 日本カラマツは、どこからやってきたのか
3 世界のカラマツ
4 カラマツとヒマラヤスギは近い親戚
5 ヒマラヤスギ属(ヒマラヤシーダー)
6 ヒマラヤ造山運動
7 元祖カラマツの分布拡大
8 ベーリング海峡(陸橋)を渡ったグイマツ
IV 第三紀に発展
ブナとササ-日本に来て大発展-
……《ブナ-豪雪に対応-》……
1 日本列島の誕生
2 古型ブナの系譜-極地ブナからイヌブナへ-
3 進化型ブナの誕生
4 ブナの潜葉虫-同属別種が日本とヨーロッパにいる-
5 進化型ブナ、海岸に出る
6 進化型ブナ、日本へ
……《ササ-災害列島を緑化-》……
1 ササのふるさと
2 日本の風土に適応
3 ササが支えた動物
日本生まれの冬尺、世界をかけ巡る
1 チャバネフユエダシャク(Erannis golda)-ブナ、ミズナラなど、広葉樹を広く食べる-
2 オオチャバネフユエダシャク(Erannis defoliaria)-モミ類を食べる-
3 考察①:チャバネとオオチャバネの生態比較
4 考察②:オオチャバネフユエダシャク誕生に関する仮説
5 考察③:日本からヨーロッパへ-モミくいから広葉樹くいに戻る-
V 第四紀の事件簿―氷河時代と後氷期―
ライチョウとギンザンマシコ
……《ライチョウ》……
1 ライチョウの個体数激減-ある新聞記事から-
2 ライチョウの生活スタイル
3 ライチョウの世界分布
4 ライチョウの種と亜種の誕生
……《大雪山のギンザンマシコ》……
1 旭岳トレッキング
2 ギンザンマシコ、日本で幸せを掴む
3 ツンドラ原野の鳥
4 強敵はイスカ
5 北海道はギンザンマシコの楽園
ハシブトガラス、ヒトと出会う-熱帯アジアで-
1 道具を使うカラス
2 道具を作るカラス
3 カラス類の嘴の形
4 カラス科の進化
5 ハシブトガラスとヒトの出会い
6 ハシブトガラスとハシボソガラスの出会い